「みーうーっ!相談があるの」
入学式から2週間くらい経って、学校にもだいぶ慣れてきたある日同じクラスの綾乃が抱きついてきた。
こないだ席替えして席が近くなってから仲良くなった綾乃はサバサバした性格が男女共に人気がある。
あたしは綾乃のサバサバしたところが大好き。
「どうした?」
あたしがそう聞くと綾乃は小声で話し始めた。
「翔人と仲いい4組の洋介くんっているでしょ?なんかちょっと気になってて…それで弥憂、翔人と仲いいから協力してほしいなと思って…。だめかな?」
翔人と仲いい4組の洋介くん…。
ちょっと考えて顔を思い出す。
協力してあげたいけど翔人と必要以上に関わるのわなあ…。
でも綾乃の恋のためだしね。
「何で気になり始めたの?」
「こないだたまたまぶつかっちゃって、そのとき洋介くん急いでた感じだったのにすごく丁寧に謝ってくれて。翔人と仲いいからもっと軽い人だと思ってたんだけど」
綾乃はそう言って少し微笑む。
やっぱり恋してる女の子はかわいく見える。
そんな法則どこにめ存在しないのになんでかな…。
「分かった。翔人にもそれとなくいろいろ聞いてみるね」
あたしがそう言うと綾乃は嬉しそうにありがとう、と言った。
綾乃の恋が実るようにあたしにできることはやらなきゃね。
「で、弥憂はどうなの?翔人くん」
綾乃が真剣な顔で言う。
「…なんで翔人?」
「すごい噂になってるよ。弥憂と翔人は両想いだ、って」
そんな噂、初めて聞いた。
確かにあたしと翔人はふざけあったりしてるから、そう見えるかもしれないけど…。
でも…。
「あいつ彼女いるよ」
「そうなのっ?」
「うん、2組の由香ちゃんって子。小学校が同じでずっと両想いだったんだって」
そう、翔人には彼女がいる。
だからそーゆう噂を流されるのは困る。
怪しまれたら嫌だしね。
それに翔人は恋愛対象として見れない。
今みたいにふざけあう関係が1番いいと思う。


「好き」にはならない。