とりあえず空いている席、窓際の前から4番目に座る。
窓から外を見ると広い校庭を囲むように咲いている桜の木が、春の暖かい光に照らされてとても綺麗に見えた。
あたしは今日からここに通うんだ、と改めて思った。


「外になんかある?」
いきなり背後から声がし、慌てて振り向く。
そこに立っていたのはサラサラのショートヘアーの女の子。
「あ、いや…桜見てただけ」
突然のことに動揺してしまい、冷たい言い方になってしまう。
「そっかあ…。あたし夏紀って言うの。よかったら友達になって?」
そう言って夏紀はあたしに優しく微笑んだ。
笑うと目がなくなるかわいらしい夏紀はあたしの友達第1号になった。


それからは夏紀のおかげで短い時間にたくさんの友達ができた。
夏紀と同じ小学校だったというその子たちは、みんなとても優しくてすぐに打ち解けることができた。


「弥憂は彼氏いないの?」
みんなで話しているとき、その中の1人、結衣がいきなり聞いてきた。
「いないよーっ。みんなはいるの?」
「結衣はいるよっ。」
結衣が少し照れながら言う。
「あたしはいなーい。」
夏紀が笑いながら言った。