ジョニー・デップ似の男のは、戦車の砲台のように黒い瞳で、真っ直ぐ私を見据えていた。



頭の中をはてなマークがぐるぐる回る。


ド・ド・ド・ド・ド


心臓の音がうるさい。


乗れ?
戦車に?
乗ってどうすんの?
ドライブ?


ド・ド・ド・ド・ド・ド


うるさい。心臓の音が。


あれ、心臓の音。



じゃ、ない?





戦車の奥で、戦闘ヘリが中に浮いていた。


ド・ド・ド・ド・ド!!!


「シット!」


ジョニー・デップ似の男は、慌てて戦車の操縦室に潜りこむ。


ベキベキと壁にめり込みながら、戦車の砲台が180度回転して戦闘ヘリに向けられる。




耳をつんざくような音をたてて、戦車がブッ放した。

砲撃は戦闘ヘリを外れ、向かいのビルに直撃した。


爆炎と悲鳴が上がる。






私の意識はここでいったん途切れる。




けれど、



この時をもってして



私を奪い合うイケメン達の争い、『イケメン大戦争』のノロシが上がったのだ。