逃げるのを諦めた私を見て戦車も止まった。


ドス黒い穴の空いた砲台が真っ直ぐこっちをみている。


なにこれ、マジ、冗談きついんですけど。


私はただの女子高生なんですが。


部活帰りで真っ直ぐうちに帰ろうとしてただけなんですが。


なんで戦車に照準定められてるの?





ガチャリ




と、音がして



斜めに傾いた操縦室のハッチが開いた。



顔を出したのは、ジョニー・デップ似の超美形だった。


「はじめまして。お前が幸恵だな?さ、助手席に乗れよ」


男は悪魔的な笑顔で微笑みながらそう言った。