英研に入り、いつもの椅子に座ってデスクに顔を伏せた。


"白石先生"


さっき、そう呼ばれたのは気のせいじゃないよね…

今までは"かなチャン"だったのに。


私と日下部君との間にある壁は高くて分厚い。

その現実に涙が止まらない。


ガラッ

うそっ。誰か入ってきた。
鍵閉めとけば良かった…
今更そんな事を思っても遅いのは百も承知。

涙でぐちゃぐちゃな顔を上げるわけにはいかない。

寝たフリするしかない。