「隼人!私、決めた!」 勢いよくガラスドアを開け、ベランダの手すりから、身を乗り出してきた女の子。 長年想い続けてきた、俺の愛しい姫。 ―――ユキ。 「くしゅん!」 外に出てきた途端、彼女はくしゃみをした。 それを見た俺は、ハンガーにかかっていた上着を窓から投げる。 「風邪引くぞ。これ着ろよ」 彼女はそれを受け取ると、嬉しそうに微笑み、袖を通した。