「しかし、こうしていると何もすることがなくて暇なのですが」

「おまえは暇にするのが一番の罰だ」
「言われると、そんな気が」

いろいろ知られたなあと、シルキス。

仕方なく両手をぷらぷらさせていると目に入り続ける魔王さまの金の髪。

「魔王さま、みつあみにしてもいいですか?」

「なんだそれは?」

「開拓地の女の子に教えてもらいました。可愛くなるそうです」

「……許す、やれ」

よし、仕事ができたと両手を動かし始めるシルキス。

栗が焼けるまでに、魔王さまをしっかり可愛くしていく。

テーブルの上には、

鍋に入り切らなかったたくさんの栗。

魔王さまが勝手にあけちゃったお礼の手紙。

そして、手紙と一緒に入っていた、

『魔族便十割引 ただし一回だけですよ』の券。

忘れないうちに使ってくださいね。

すみに書かれた文字と鳥の絵が、

シルキスを笑顔にさせ、また魔王さまに脚を蹴らせた。