自分がエルフ達を手助けするときは、とんでもなく困ったときだなとシルキスは思う。

それはリズにも伝わったらしい。

「ふふ、いいですよと安受けあいしてくれないところが魅力です」

リズは言って、シルキスの返事を待たずに手をふった。

「おやすみなさい。勇者さま」

ゆっくりと背をむけ、仲間のエルフを連れて空港に戻っていく。

シルキスは何も言わずに見送った。

困ったことなんか起きないといいですね。

シルキスは胸の内で願って、自分も宿への道を進み始めた。





宴の後の静かな夜。

困ったことは、その夜の内に起こった。