「そうは言ってもですね。いつどこで勇者の血筋の方と会うか分かりませんし、そのたびに狂犬のような反応をされても……」

うっ。
それは自分にも当てはまる。

シルキスは魔王さまに怒られたつもりで反省した。

「って、こらネーイ。シルキスさんから離れていかないの。元の場所に戻ってくっついて」

見ると、ネーイはそーっとシルキスから椅子を離していた。

リズに怒られて、しぶしぶ戻ってくる。

戻ってくる途中で目が合うと、またビクビクっと怖がられた。

シルキスは、ネーイはそっとしておくことにして料理を自分の口に運ぶ。

「それでですね、私自身は勇者さま達とお話するのが好きですよ」

「僕以外の勇者は、もっと愛想がいいとか?」

このエルフは分かっていると判断して、シルキスは自分のやや冷めた感情を晒す。

「ふふふ、だってほら、」

リズはテーブルに両肘をついて両方の指をあわせる。

「今のシルキスさんみたいに、勇者さまは私達の外見だけでは落ちないでしょう。そこが楽しいです」