「いや、単に面白そうだったからだが」

訂正、子供だ。

いずれにしても、

「掃除はします。床とか壁とかぬるぬるしているところがあるでしょう。そこをブラシで擦ってください」

「むう」

魔王さまは、これで遊びは終わりかという顔をする。

シルキスは、風呂場の隅からブラシを持ってきて言う。

「やってみてください。これはこれで楽しいですから」

「そうか?」

疑いの目。
それでもブラシを受け取った。

シルキスに指されたところを擦り始める。

ギシュ、ギシュ、ギシュ、ギシュ。
ブラシの毛が鳴るいい音。