「あらぁ
ゆりちゃん
いらしてたの?」

「はい!!
おじゃましてます!」

にこっとほほえんでから
ゆりは私に目線をうつす

「あ……
えっーと

お母さん」

「なぁに?」

「カナダ……

カナダに行きたいの…」

「まぁ!!

うちにそんな余裕もないけど……

あいりは私に気をつかって本当の事あんま話さないから

なんだかうれしいわ……

そうね

いいわ

あなたのしたい事なら

お金なんてなんとかなるわ!!」

お母さんが嬉しそうに
でも少し寂しそうに
笑う

「ありがとう……」

私はお礼を言う

きっと私は強くなった

お母さんも強くなった

ゆりも強くなった

ただ一つ

机の中の未開封のピンクの封筒を
開けない私は………