『夕陽ちゃん、雪那を知っているのかい?』
『あ、いえ、まさか?!無いです。大斗から名前聞いただけで…』
たどたどしく答える夕陽。マスターの瞳の奥が何かを伝えてる。
でもわからない…
『…そうか、じゃあ大斗の昔を…聞いているのかな?』
大斗…の、過去…あの海での話し…
『…わからないけど、咲さんとの出会いのいきさつは聞きました。』
マスターは柔らかい表情で微笑む。
何を思ったのかとっても優しい顔をしている。
『そうか、雪那と僕は古い付き合いでね。彼女は咲が二十歳になった時に北海道に行ってしまった。』
遠くを見つめる。
『雪那に連れられて、咲はここに来たんだ。そのうち今度は咲が大斗を連れてきてね、今は夕陽ちゃんに出会った』
今度は出入り口を見つめて言う。
『Sweet Blueって名前、僕が当てた意味はね「甘い気持ちとブルーな気持ち」それは「甘すぎるほど、切ない。その切なささえも甘い」って事なんだ。なかなか素敵じゃない?あの扉が開いたら、沢山の物語りが此所に舞い込むんだ。大斗と咲をこれからもよろしくしてやって欲しい』
『よろしくされるのは…あたしの方です。いつも何かと助けてもらってばかり。大斗と咲さんの繋がりは羨ましいです。』
咲さんの作り出す空気と大斗の…
『そうかい?僕は夕陽ちゃんと大斗が羨ましいけどな?』
えっ?!
『2人、仲いいよね?!大斗が女の子を連れてくるなんて初めてだよ。高校行き出した頃「見せたいヤツ」がいるって言ってたんだ。見せたいって失礼だけどね。夕陽ちゃんは大斗の事好きじゃないのかい?』
突然マスターは「年齢は?」と聞くみたいに平然と聞いてきた。
『えぇっ?!違いますっ!!あたし、好きな人いるし。それを抜きにしても、なんでかな?!大斗とはずっと友達でいたい。大斗には咲さんがいるじゃんっ』
やだ。焦って畳み掛けるように言ってしまった。しかも大斗に言ったからかな?好きな人がいるって、すんなり言えちゃった。