あたしは…ボケッとその様子を見ていた。
ひたしそうに大斗の腕や胸の辺りに触れる女の人…
「大斗君は何で服を脱がないの…?」
ふと…そんな声が聞こえてしまった…
ふ…服…?!
会話の主旨が読み取れてしまった。
大斗は無表情。
知らない人から友達のエッチスタイルなんてさすがに聞きたくない話かも…
『別にいいじゃん』
感情が少しも読み取れなく、読ませないようにしているような、隙の無い声。
そう答える大斗の声も聞こえてしまった。
さっきまで…南深と恭次くんの事を、温かく話していた彼はどこにいったの…?
違う人みたい…
大斗は人の事わかるけど
あたしは…大斗の事がわかんないよ…
しばらくして、夕陽の元に戻ってきた大斗は、再び柔らかい顔。
『どうかした?』
そして、何事も無かったように不思議そうに聞いてくる。
どうって…大斗は自分で自分のしてる事、わかってないの?
少なくても…自分がキスした女の子が見てる横で、他の女の人と平気で話す事…
あたしは…不思議と大斗にドキドキしないから、平気で見ていられるけど、全ての人がそんなはず無いと思うし…
それとも…
本当に少しも悪気がないのかなぁ…
『大斗ってわかんないね?』
つい、言ってしまった。
『よく…言われる』
彼は無表情で答える。
『送るよ。今日は星が綺麗だよ』
突然突拍子もなく言った彼。
『え?』
『天の川は7月7日じゃなくても見えるって恭次が言っててさ、今日はこの街でも見えてる』
席を外していた時間の前と直接繋げたら、なんて夢みたいなセリフなんだろう…
大斗は無意識にこうして女の子を惹き付けているのかも…しれないなぁ…
それからは、特に会話もしないで送ってもらった。
店に戻った彼は…あの女の人と過ごすのだろうか…
天の川は綺麗だった…
でも…
あの海の空の方が幻想的。
でも…
今日の…これが、現実?