『あたしにしてみたら恐いのは男の子のほうよ』


彼女は意味深に答える。


男の子なんて結局、自分の欲を満たすためだけに甘い言葉や優しさをだすんじゃない…


大事だったものを手放してから、色んな事に投遣りになっていた夕陽は冷めたことを思っていた。


『それって―――…』

彼が何か言おうとしたが、同時に料理が届けられ、話は途切れてしまった。


『ん?なっ…なにこれーっ?!』

大斗の目の前に並ぶは3つの料理、極めつけにビール。

『なんなの、その量…。それにビールって…歳いくつよ?今昼よ?』


この細い体に全部詰め込むってこと?


『腹減ってて、勢いで注文しちゃった♪でも案外いつもこんなだけど♪ハイ乾杯♪』

大斗はびっくりしている夕陽のお冷やにジョッキをあてると、一気に流し込む。


そして、パスタ、ハンバーグ、マグロ丼という変な組み合わせの品々を平らげていく。

凄い食欲である。

夕陽が呆気にとられて見ていると

『それ頂戴♪』

勝手に皿から手付かずのクリームコロッケを奪っていった。


自由な人だ…何て自由な人だろう。

美味しそうに食べてるし…


横取りされた事に文句言うのもどうでもいい気になってきた。

あまりにも大斗はしたいことがストレートで気持ちがいい。


…。

ぷ。なんか笑える。。!!


俺様すぎる!


『あははははーッ』


駄目だ苦しいっ!!

なんだか物凄くツボにはまっちゃった!!


大斗は夕陽の笑いも気にせず食べ続ける。

半分くらい食べると少し食欲が満たされたのか ふと

『俺たちって、同じクラスなのに会った事ないよね、学校きてたの?』

モグモグしながら聞いてきた。

『あたし…来たり来なかったり、適当に帰ったり、丸1日居たことって結局ないの。…なんとなく、寝過ごしたり行きそびれて…』

本当に情けない話しだが、学校の時間に遊びに誘われたら断れなかった。


『オレも仕事忙しくって。夜働いてるから学校はオマケ程度になってるし。まぁ入学できたら行かなくてもいいんだけどね』