『なんとなくね、ほんと、なんとなく。アンタっぽいんだよね、多分。よく似合う』


何だか真っ赤になってしまう。

大斗の言葉は理解不能だったけど、とにかく恥ずかしかった。


『よく恥ずかしいことサラッといえるよね?』


照れ隠しで嫌味っぽく切り返す。


『てめぇ?!俺はロマンチストだバカ!!』

『寒気がするわっ。こっわぁー、こうして世間を騙すのね??』

『てめぇコレに醤油いれるぞ?!』


『やめてよ!!ピンクの涙が汚れるわっ!!』


Barの片隅で騒ぎ立てる2人。

やっぱりいつもの調子である。


―――――――――


『夕陽ちゃーん♪』


周りのザワザワを突き抜ける明るい高音。

咲が2人を見つけて駆けてきた。薄暗い中に白のスーツが華やかに浮かぶ。


やっぱりオーラがでてる。


『歌…全く間に合わなかった』

到着すると、しょんぼり呟く咲。それから

『わぁっ!!大斗ったら、そんなの作って、夕陽ちゃんに何するつもりよ!しかもすごいコレ、夕陽ちゃんっぽいしぃー♪』


そう言って夕陽の隣に座った、警察の時とは違う、いつもの咲だ。


夕陽はもうどうしようもなくなって、カウンターにガンッ!!と突っ伏した。


真っ赤かの顔が熱い。


それを見てブハッ!!と堪えきれなくなった大斗が大笑いする。


『ちょっと、そこのバカ店員。ちゃんと仕事しなさいよっあたし、ビールね』


咲はそう言ってキャハハと笑っていた。


"咲さんに会ったらどう思うだろう?"


とも思っていた夕陽だが、やっぱりそれを思えるどころではなかった。


しばらくすると、ずっと黙っていた夕陽だが突然顔をあげて、


『あああありがとうございます!!』


沢山トドモって大声をだした。

大斗はついにカウンターの下に座り込んで「サイコー!!」とお腹を抱えて大爆笑している。


『夕陽ちゃんカワイー♪伝わったよ。ありがとうーっ』


咲はガバッと夕陽を抱きしめて「かわいーかわいー」と頭を揺さぶる。


『くるじーでっす』

涙目で顔をあげると、

『元気そうで安心したよ。』

と咲は微笑む。

夕陽はその笑顔にまたドキドキする。