補習が終わったら、いつの間にか8月だった。
長い梅雨がやっと明けると、その後は信じられない暑さが空気を焼き始めていた。
夕陽は昼間から独り、リビングでぼーっとしている。
あーぁ
キス…
しちゃった…
なんで?
しかも…
ドキドキしない…。
なんでかなぁ…?
大斗の…過去…
なんて言葉で…この気持ちを…表現したらいいんだろう…
はぁぁ…
言葉にならないよ…
だから繋がる大斗の姿…
あたしが理解できる話ではない…
キス…
なんで…
わかんないや…
どんな顔して…次に会おう…
キス…は…
挨拶みたいに普通なことした気分で…
握手をするみたいな感覚だったんだ。
あたし、どうかしちゃったのかもしれない…。
ついに外人になったかな?
夕陽は暑さで思考がへんてこらしい。
しかし、"建前でも彼氏でない人"とキスをしたのは初めての事だった。
波の音に流されたな。
あの雰囲気のせいだ、きっと…
しかし…暇だなぁ…
大斗の過去…
キス…
はぁぁー…
夏休みの一月余り、特に予定がない。
彼氏と過ごす夏休みも、もちろん夢で終わる。
とにかくぼーっとしていた。
立川先輩とは連絡をとっていなかった。
学校から電話があり色々きかれたが、大斗から親の事を聞いたのか、咲が話をつけたらしく、イギリスの両親に連絡される事はなかった。
『ひーまーだー!!』
…
キス…
大斗…
〜♪〜♪〜♪〜
『みぃちゃーん!!ひまだー!!』
携帯に飛び付く夕陽。着信は南深だった。
『やっほ♪補習お疲れ!!今晩、杏が歌うから見に行こうよ♪』
行きます!!行きますとも!!
南深と待ち合わせて元気に電話をきった。