『それから俺らは、毎日暴れたんだ。"寂しい"って泣かなくなった代わりに、適当な理由をつけて暴れた。』



聞こえるのは波の音…

そして…

心に伝ってくる神崎君の声…

それだけだった…。



『その時は不安も飛んでってさ、気持ち良かったなぁ…気づいたら警察とオトモダチ…』


星空の奥を見つめる彼の顔は、

やっぱりとても綺麗…。


『なんとか中学生になれた俺は好き放題でさ、イライラしただけで喧嘩してた。雪那さんは全て知ってたけど、咲と俺がつるんで好き放題するのに何も言わなかったんだ。恭次と会ったのはこの頃。』



ザザーン ザザーン…

神崎君はゆっくり言葉を紡いでゆく…



『でも…あの頃があったから、今はギリギリこうしていられる。雪那さんは分かってたんだろうな…波長が合うってこういうことだったんだ。』



ねぇ?

神崎君…泣かないわけにはいかないよ…


『咲と俺…だんだん落ち着いていった…それなりにね』



涙で空が滲んで…星の一粒一粒が大きく見えた。

そこに、ふーっと煙を空に溶かせる彼。



『俺…さっきまで咲とsexしてたんだ。前みたいに暴れなくなったけど、咲との関係は続いてる。』



『いつもお互い、やりきれない時に気持ちを埋めるだけの為にやるんだ。どうしようもねぇよ…俺。でないと自分を保てない』



潮風が涙を撫でていく…

それでも、涙は止まる事は無い…  


『咲は特別。sexもする。でも恋人ではない。何しても、それでも俺らは5年前と何も変わらない。周りから見たら変だよな?でもそんなの関係ないんだ』

『…』


きっと、それは神崎君と咲さんしかわからない気持ち…?


『本当に片桐さんには色んな話ししちゃうな…』


神崎君は「不思議♪」と笑っていた…


『結局、言いたかったのはさ、俺、そんなだったから…まだ、無意識に手がでる時がある…。ゴメン。立川ぶっ飛ばしちゃった』


静かに…静かに言った。


クスクス。

神崎君は涙をボロボロ流しながら笑うあたしを不思議そうに見ていた。

その驚いた表情にまた笑えてきてしまう。