『いずれバレることじゃない?今のこの子に誰が教えてあげるのよ?医者?警察?誰よ?そんなヤツらから、あたしだったら聞きたくない!!』


咲は大声で話す。

そして向き直り


『あんたの親は死んだわ。母親が父親を刺したの!その後母親は後を追った。心中したの!!』

『咲!!』

彼女は雪那の声なんて少しも聞かず続ける。

『あたしは!!前に本当の事ずっと教えられないままだった。事実を知らないのがどれだけ辛いことか、あたしにしかわからない!!』



"シンジュウ…ハハオヤ ガ チチオヤ ヲ サシタ…"??



事実…咲の説明の通りだった。

病院に運ばれ意識がない時、その姿を見た母親が、ついに手をくだしてしまった…。


そして…父親と共に死んだ…


涙が流れる。

声は出ない。


ただ開いた目から止まる事なく、ただただ流れ落ちる。


涙腺は壊れた。


大きく息を吐いた雪那は意を決っしたように言った。


『状況把握できないと思うけれど、事実なの。あなたにはもう身寄りの人は居ないわ。このまま、施設に行くことになるの。』


咲を瞳の前に立たせて


『咲はね、歳を偽って私のお店で働いてる。この子は施設で育ったわ。見ての通り問題児』


咲は「うるさい」と小さな声で刃向かう。


『ただ、これはあたしの直感、大斗君は知らない施設に行くのなら知らない咲と居た方がいいと思うの。あなたたちは波長が合っている』


頭の中に入ってくるはずがない。


少しも分からないくらいだった。


施設?なんだそれ?

波長?なんだそれ?

直感…?


頭の中はもう考える事が出来ない。


そのまま気を失って―


次に目覚めた時には


言葉を失っていた。


元々余り喋らなっかたが、全く声が出せなくなった。

医者は精神的な問題からくるもので一時的なものだというが…