補習最終日。
フラフラと学校に向かう夕陽。今年は梅雨が長い。
それともただの雨なのか、パラパラとまだ降っている。
プリントに向かい合うが、もちろん頭は回るはずない。
学校に来れただけで奇跡だった。
――――――
『おわったー!!』
何も知るよしない大斗は万歳をすると、プリントをピラピラさせて、わざわざ夕陽の席に来ると
『片桐さん俺おわっちゃったー♪そっちはー?』
嫌味っぽく言い夕陽のプリントに視線を落とす
『何これ?真っ白』
夕陽は見向きもせず窓の外を眺めている。
生気が抜けたその顔は、大斗が来ている事にも気付かない。
『おぃ片桐さん?』
大斗が夕陽を揺さぶると、やっと帰ってきた彼女が彼に気付いた。
『あ…神崎君いたの。』
それだけ言うとまた視線を窓の外へ向けた。
『おいって!!』
なんだこいつは?張りがない…
『お前、とりあえずこれ写せ』
夕陽はぼーと大斗を見た。
やっと悲しくなってきた彼女は半泣きになる
『いいからこれ写せ』
大斗はそれしか言わない。
夕陽は何も言えずにゆっくりとペンを走らせた。
泣くのはなんとか堪えた。
――――――
やっと写し終ると既に周りには大斗と夕陽しかいなくなっていた。
『来い』
大斗に促されてフラフラとプリントを出しに行く。
酷い顔をしているが大斗はそれには何も言ってこない。
『じゃ』
職員室から出ると夕陽はそう言ってぼーっと歩き出した。
外は暗くなりかけてきた。
『おいって!!そっち違う』
気が付くと玄関とは反対方向に向かっていた。
『送るから』
『いい…』
ハッとなってスタスタ歩く夕陽。
その後を大斗が追っていく。
『おいって!!』
『ほっといてよ!!』
振り返りざまに答える。
完全な八つ当たりだ。大斗に何の礼も言えず、どんどん歩く。
もう訳が分からなくなっていた。
夕陽は走る気にはなれず早足、それを大斗が追えないはずはなく、彼女について歩いて行く。