『バイクなんて中学から乗ってるから運転問題なしだけど、この学科はなんなんだ?わかるか?!バカ!』
ブツブツ言ってるが、夕陽の話しは聞いてるのだろうか?
『あのー…?相談してんだけど…』
そんな夕陽に大斗は教本をパタンと閉じ
『お前ん中で答えはでてんだろ?だったらそうすればいい。俺は否定しない。でも万一迷うなら辞めとけばいい。』
ほら…ちょっと優しい顔で言うんだ…
『大丈夫、それで平気。いつか違くなる、それまでは、そんなでもよくない?別にお前のしてること悪くねぇよ。思うようにしろ』
ね…。
神崎君はあたしの事を良くわかってる。
良く知らない人と、寂しさ紛らす為に付き合おうとしてる事も、
良くない事とわかりながら、それでいいかと思ってしまう事も。
今はまだ"それで平気だよ"って言ってくれるんだ。
あたしを否定しないんだ。
その日の帰り教室に来た先輩に
『よ、よろしくお願いします』
と夕陽は言ったのだった。
『どもってるし』
先輩は優しく笑う。
梅雨に差しかかろうとする6月のある日。
夕陽は立川先輩と付き合うことにした。
それまで知らなかったが、立川先輩は3年生の中でも一際目立って有名だった。
何であたしを選んだんだ?
謎だ…
2人が付き合ってる事はすぐに広まり、夕陽の名前も広まったようだ。
先輩は教室に迎えに来てくれて、一緒に帰りゲーセンやカラオケに行く。
または先輩の友達に紹介されて一緒に遊んだりする。
先輩の友達はみんな今時な感じで、今時っぽい彼女がいる。
夕陽は色んな所に連れられては、色んな人に紹介された。
それなりに楽しいけど、先輩の考えはイマイチわからない…
そしてやはり、すぐに抱かれてしまう。
何となく、今までより少し虚しい気がする…
あたし…何やってんだろう…。
だけど、誰かに必要とされていたいの…
どんな理由だっていい。
独りよりましなんだ…。
はぁ…ぁ。
本当にそうなのかな…?