ザザ―ン


ザザーン ザザーン




沈黙…?





大斗はハッと立ち上がり、あたしを見下ろし固まって…




『待て…もう一回…言ってくれ』



何かに気付いたのか、すごい真顔でお願いされてしまった…



バカ?



『バカ…』



もう、ほんと、バカ…




あたしは、ホケーっと突っ立つ大斗に近づく…




あたしを見つめて微動だしない彼の胸の前…


背伸びをした



瞳が合った時には小さく笑う。



あなたが恋しくて…


愛しくて…





笑顔の中に想いを沢山詰め込んで…






ちゅっ











ほんの一瞬だけ

唇を重ねる






想いは広がる…


この海と空のように…










『大斗の事が好き…』









大好きな人にだから出来る

最高の笑顔を向けて―





ザザーン。。。。





『好き…好き…す…グズッ』






夏の海。


海の波。


波と空。


空は茜色。







世界は全て―あかねいろ






『泣く…なよ…?』




ドキドキドキドキ



『波、だもん…』


そんなのはもちろん嘘で

もう波に隠しきらない…


あたしの涙。



『涙だもん?』


大斗…つまんないギャグだよそれ…


泣き声に消されず入って聞こえたあなたの声は…

いつもの通りにすっとぼけてた…



クスクス


『寒いよ』


と返したら


『大丈夫か?冷えたか?』


涙を拭ってくれながら

真剣に心配そう…



『違うよ、熱いよ』



熱い…


胸が焼けてしまいそう…


もうほとんど沈んでしまった

真夏のお陽さまよりも…


夕焼け空よりも燃えてゆく…