咲さんは、さっきみたいにあたしをじっと見る…
でも物凄く驚いた顔をしていた。
『キス…したの?』
そして一言。
あたしは咲さんの驚きに
咲さんはきっとあたしの発言に
2人できょとんとなっていた。
『キス…されたの…?』
再び落とされた言葉にピタリと涙が停止した。
『え…?何で?大斗は…誰にでもエッチもキスもするでしょ?挨拶するくらいな勢いでしょ?』
「誰でもヤれる」そんな言葉を菜穂ちゃんに言ってた…
あたしは、固まる咲さんに思わず聞いていた。
『夕陽ちゃん、それが答えだよ』
笑いながら恭次くんと同じ台詞を言われた。
『こた、え…?』
『大斗はSEXは無差別だけど…』
ちょっと困った顔で…片眉下げた…あの顔で小さく笑って続ける。
『誰にもキスはしないよ』
『へっ?!』
あたしは…さっきの咲さんみたいに驚きのあまり固まって、また超間抜けに返事をしていた。
『嘘だ…そんなはずない…ありえない…し…信じられない…変な冗談…?』
信じられるはずがない。
『昔言ったんだ。大斗とSEXした日に…大斗は唇にキスはしないんだよ』
えっ…?
『前に…あたしにかしたことないって、からかってるんだと…』
『そこまで聞いてたのに…?ってそうか…でもバカばっかのアイツが悪い…ね』
―――――
「これ…何?」
「あたしたちSEXしたんだよ」
「知ってる…」
「じゃぁ聞かないでよ…っ。でもさ、大斗は…色んな女を抱きなよ…気が付くまで…」
「何に?」
「だから[何に]を気付く為よ」
「―…」
「でもね…キスは…唇にキスするのはね、この人としたいって思った時にしなよね」
「意味わかんない」