『そういう事だよ。恭次たちは、もう少し時間がかかる。進藤さんが恭次を好きなのはバレバレだけど…』


大斗は静かに言った。



『やっぱり…そうなんだ。幼なじみなんでしょ?あの2人…』


『そう。産まれた時から一緒、中学違うんだけどさ。進藤さんの事、恭次から聞いてたけど、アイツは俺に絶対会わせてくれなかった。なんだよって感じ』


なんか神崎君、優しい顔…。


『恭次はまだ自分の気持ち、ちゃんと向き合ってないよ。それにアイツが今のまんまじゃ、この先何も変わらないだろうね。だけど、ナナちゃんはきっと色々感じてんじゃん?』


煙草の煙が立ち昇る。


『神崎君は人の気持ちが良くわかるね…』


そう。

神崎君はいつもそう


『困ってる時とか、数学教えてくれたり、話し振ったり変えたり…こないだのファミレスとか彼氏の話し…さっきも…。ちょっとした事だけどさ…』



『偶然でしょ。俺は思ったまましてるだけ』

さらっと言って

『…片桐さんには何かさ、別に言わなくてもいい話し言っちゃうな。オレに全く媚びない、あんたみたいな女は珍しいよ。それとも少しはトキメいた?』


神崎君はイタズラする子どもみたいに見てくる。


全く…この人は…


『世界は広いのよ神崎君。世界中がアンタを好きになるわけじゃないわ。』


『きっつい言葉。それ寂しいなぁ基本モテたいの僕♪』

『恭次君に「興味ないの♪」って言ってたじゃない』

『聞いてるしっ片桐さんにはかなわねぇな、マジで』


わははーって笑っている


『モテモテ神崎君は幸せだね。あたしもそうやって考えられたらな…。でも、ナナちゃんの事も考えると、みんなが幸せになるのって無理だよね…。』


なんだか切ないよ。


『別にオレそんなんじゃねぇよ。ーんじゃぁ、片桐さんは幸せ?』


「って"幸せって"恥ずかしい言葉ね〜♪」と続けて軽く聞いてきた。


『あたしは…』



『ま、恭次がもう少し現実見るようになんなきゃどうしようもねぇよ。幼なじみってのも難しい関係だな』

「困ったな」って感じに夕陽の返事を遮り笑った。


ほら、また。

空気を読んでくれたんだ…

ほんと我が道をゆく人…

ほんと…