『なぁ?お前…咲の代わりなんだろ?』
大斗フッと言った。
『俺は今、すげーイライラしてるんだ。』
『えっ…?』
『だから…ヤラせろよ』
大斗はそう言って荒々しくキスをする。
『咲の代わりになりたいんだろ?だったらヤラせろ。』
『んっ…』
ハラハラハラハラ緑が落ちる…
『ゃ…ぁ―っ!!やめてよ!!』
ドンッ!!
夕陽は大斗を押し退けた。
『何だよ…お前なんか、全然伝わんねぇ。お前なんかもう何考えてるかわかんねぇよ。同情なんていらねぇんだ!!』
大斗は夕陽を睨み付ける。
『なにそれ…大斗は、あたしだけじゃなくて咲さんもバカにしてる!!そんな事言うなんて酷すぎるよ!!』
『何だよ?何で咲なんだよ…』
大斗はそう言い視線を外す。
『なによ…だって…』
その夕陽の言葉を遮るように
彼女を黙らせるかのように…
再び強く見据えて言った。
『お前は咲じゃねぇ!!咲なんかじゃねぇよ!!』
今まで聞いた中で一番大きな大斗の声だった。
夕陽は大斗を凝視する…
『約束なんてしなければよかった』
彼は言った…
『お前なんかもう知らねぇよ』
大斗は夕陽から離れるとそう言って行ってしまった。
ぺたん。
桜の木の下にへたりこむ。
大斗を追いかける事はもう出来なかった。
『うっわぁぁぁあああん!!!』
誰もいない中庭で泣きまくる。
ひろとが…
行っちゃった…
どうしよう…
あたしに向けられた大斗の冷たい瞳…
昔…立川先輩の時に…
咲さんが凄く慌てて大斗を連れて帰った時も…
きっと一緒…
「お前は咲じゃねぇ!!咲なんかじゃねぇよ!!」
やっぱり…
「約束なんてしなければよかった」
言われてしまった…
「お前なんかもう知らねぇよ」
真っ暗。
その中にハラハラ散る桜の葉だけが色を持って世界に映っている…
ねぇ…咲さん…
大斗が…