『だけど…ね…ごめんね、大斗…。あたしは…咲さんみたいに絶対的な愛なんて…あたしは持ってない…』


何を言ってるんだこいつは?


夕陽から身体を離す。


『鞄、取って来る…ここに居ろ』

『大斗…』

『うるせぇっ!!』

大斗はベッドから降りて保健室から出て行った…


――――――――――


ガラッ!!


『あら?大沢傑君♪節介逃がしてやったのに…呑気に教室にいるんだねぇ♪』

夕陽の鞄を取った後、自分の鞄を取りに来た大斗。

教室に居た傑を捕えてしまった。


『お前は確実に死ぬよ♪』

目が座った大斗は淡々と口を開く。

『それとも、そうされたくて待っててくれたのかなぁ♪?』


にっこり。


ガンッ!!


そう言って、傑の傍の机を蹴り倒す。

『きゃぁぁぁああッ!!!!!』

昼休み、教室にはお弁当を広げる生徒が沢山いる。

大斗にはそんなのは最早全く見えていない。


叫び声も聞こえていない。


更に傑が居る机を持ち上げた。


バサバサバサー!!!


中の教科書が散らばる。


『なっ神崎?!何すんだよ!!』

慌て出す傑。


『邪魔な机だな♪』


大斗は依然笑っている。

周りを凍らす笑顔で…。


『死ね』

大斗はその机を3階の窓から外へ放り投げた。


バリーンッ!!


―――――――


保健室。

ベッドに横になりながら泣き続ける夕陽。

物凄い音がした。


えっ?!!


バッと音のした窓を見る。

今日も見える桜の木。


ガッターン!!


そこに物凄い音と共に何かが落下して来たのが見えた。


机…?!!

保健室…の上…

教室?!

1組だ!!

大斗ッ!?!

「いやぁ、でも学校の窓割ったのは楽しかったね、机4階から放り投げたり、毎日喧嘩ばっかしてさ」

まさかっ!!

でもやりかねないっ!!


夕陽はガバッとベッドから立ち上がった。

大斗に渡すためのお弁当の入った紙袋も置いて

自分が大斗のシャツを着ていることも忘れて走り出した。