『相当遊び人の神崎の事だからさぁ、夕陽ちゃんもそう言う子でしょ?夕陽ちゃんも神崎とよろしくしてんでしょ?』

『大沢…君…何言って…?』

『だから、俺ともしてみない?って事♪』


嘘…ッ!!


夕陽の背が壁に当たる。


〜♪〜♪〜♪〜


その時、夕陽の胸ポケットの携帯が鳴る。

しかし動けない。


切れては鳴り出す着信音…

3回目の着信で傑が夕陽の携帯を取り上げた。


―着信。魔王サマ…―


『魔王…?誰…?って、あぁ…』

何かに気付いた傑は勝手に通話ボタンを押した。


〈夕陽!どこにいるんだ?〉

携帯から漏れ出す大斗の大声。

〈おい!?何だよ!?何か言え!?〉

捲し立てる声は夕陽にも聞こえてはいるが…


声が出せない…


『かぁんざっき君♪』

傑は喋り出した。


〈お前っ?!大沢傑だろ?!何で夕陽の電話に出るんだ?〉

『何でって、今さぁ夕陽ちゃんと居るんだよね?邪魔しないでくんない?』

〈お前…言ってる意味わかんねぇよ?夕陽を出せ!!〉

『いいじゃん?たまには貸してよ?』

〈意味わかんねぇって言ってるだろ?!!〉

『だからぁ、今日は俺に夕陽ちゃんをやらしてよ♪』

〈ふざけんな!!てめぇ!!〉

大斗の怒鳴り声が夕陽に届く。

『別にふざけてないよ。2人は付き合ってないんでしょ?どうせ神崎は夕陽ちゃんを都合良く使ってんでしょ〜?』

『やめて!!』

その時やっと言葉が出た夕陽。

〈夕陽?!どこにいるんだ?!何して――――
ツーツーツー。


大斗の言葉の途中で電源が落とされる携帯。

『ひろ…と』

夕陽は小さな声で呟く。

『残念でした。まぁ神崎は忘れて、俺と付き合ってよ♪』

再び傑は更に夕陽に近づく。


うそ…


夕陽のシャツに手がかけられる…

1つ1つ外されていくボタン…

『嫌ッ!!』

やっと動いて振り切った瞬間、残りの3つのボタンは引きちぎられた状態になってしまった。

『こういうのだって案外駄目じゃなかったりして?!神崎より俺の方がきっと楽しいよ♪』