『わかってた…けど…なんか度々…大斗を好きな人に、色々言われたり…攻められたりして…なんか…もう…ううっ…』

夕陽は堪えていた涙を溢れさす。

『わかんなくなっちゃったよ…大斗はあたしに…キスするし…ふざけて「好き」とかからかって面白がって…なんか…どんどん、むなしくなっちゃって…』

話ながら夕陽はポロポロ涙を流す。


『ひぃちゃんは…神崎の事が好きなんだね…?』

『違う!!』

夕陽は再び遮る様に大声を出す。

『やだ…あんなやつ…もうヤだよ…考えてる…事、もうわかんない!!好きなんかじゃない!!』


涙が散る…

以前は拓巳を思って来れなかったカフェLedaで

夕陽は大斗の事で涙を流す。

『神崎…怒ってたよ?それで、すごい悲しそうな顔してた…』


『あたし…』

夕陽は小さな声で呟く。

『大斗が…拓ちゃんの事で…沢山励ましてくれて…咲さんが居なくなった時、悲しんで、部屋メチャメチャにしてるの見て…だから大斗にお返ししたいって思ってた…』

『うん』


『でも、あたしは咲さんじゃないの、綺麗じゃないし、何でも持ってる人じゃない…苦しいよ…』

うわぁぁんと泣き出してしまった。


『自分で、わかってたのに、あたし…本当に駄目…ッ』

『ひぃちゃん…』


『大斗と咲さんの繋がりを良く知ってるの…!!咲さんの事…あたしも大好きなの…!!大斗の助けになりたいのに…!!』

杏は夕陽の隣に回って背中を擦る。

『落ち着こう…落ち着いて、ひぃちゃん…』


グズグズグズグズ泣き続ける。


『今日、ひ…ろと…と、はじめて…「約束」した…のに…行けなかった…守れなかった…あたし…』


『ひぃちゃん?神崎は何にも知らないんでしょ?橘菜穂とのやり取り見てたことも、言った方がいいんじゃないの…?』


優しい優しい杏の言葉。

『落ち着いたらでいいから、神崎と話しなよ。勇気だしな。橘菜穂に言われる筋合いなんてないんだからね』

杏はにっこりと笑う。