親の…顔色を伺って育ってきて…
自分の気持ちなんて、とっくにどっかに忘れてきていたはずだったのに…
咲以外の女なんて、ヤルだけのモノだけだったはず…
『神崎君?』
確か…1年の時のクラスメイトだった女…?
『本当はずっと好きだったの。付き合ってください』
俺、今まで何て断ってたっけ?
確か「ありがとう。でも忘れられない人がいて」っつって切なく笑ってたんだ。
基本的には学校のヤツは余計な噂が回ったらダルいから断るけど、まぁ何かあったら都合良く使えるために当たり障りなく言ってたんだっけ。
別に最早どーでもいいよな。
『ごめん。無理』
ヤベッ。笑顔するのも忘れた。
まっいっか。早く去ってしまおう。
『じゃ』
振り切り教室に向かった。
ガラッ
『おはよーモンチッチ』
あ…
大斗の教室には恭次と南深と話している夕陽が居た。
『おぃデブ。そこ俺の机だけど…壊れるから退け』
夕陽は大斗の机の上に腰かけている。
『うるさいわね?デブってねぇ…でもちょっと夏になるしヤバイいからね、見てみて痩せる水ー♪おいしーよ♪』
大斗の話を流しながら夕陽は持っていたペットボトルを見せる。
『あ』
と夕陽の声と同時に大斗はそれをヒョイっと取り上げゴクゴク残りの半分くらいを一気飲み。
『マズッ』
そう言って何食わぬ顔で夕陽に返した。
『ムカツク…』
『フッ。間接キス♪』
ニヤリと笑う。
『んなっ…///』
『大丈夫だよ。俺デブでもお前の事好きだから』
『は?』
「何を言ってますか?」とビックリの夕陽。
『だから好きだって夕陽ちゃん♪
…――って何すんだあぁぁぁぁぁっ!!』
『寝言は寝て言えっばーか!!』
夕陽は大斗に頭の天辺から水をジョボジョボ〜
滴り落ちる水滴が日の光にキラキラしていた。
『水も滴る♪って決してイイ男じゃないけどね♪お酒じゃないだけ感謝しなさい♪バーカ!!』
『俺に水かけるとは良い度胸だなてめえ?』