『まぁねー♪』

とても機嫌良く恭次は答える。


『ところで、「達」?って大斗も?』


『そうだよ。大斗なんて尚更拘るね。いくら女と遊んでも絶対呼び捨てしないし、呼び捨てさせない。もちろん女に家とかも教えないしね。』

『嘘だぁ』

『そう?考えてみてよ。南深とか杏の事だって未だに苗字じゃん』


あ…そうかも


『何せ咲ちゃんがすげー拘ってさ、俺も昔怒られたよ』

『咲さんが?』


咲さん…


『そ。大斗は友達居ないから、全ての教えは咲ちゃんかマスターに雪那さん…と俺のみ。寂しい少年だね♪』

『うるせぇっ恭次が居ればいーし』

「キモイよ」と言う恭次の横で夕陽は呟く。


『あれ…?』

何かに気が付いた様子。

『大斗…あたしの事は呼び捨てするし…家も知ってるけど…』


こいつ…お前が他の女と違うの分かったのか?!


『お前…気付いた?』

少し戸惑い、それを隠すように大斗は平気な顔で夕陽を見る。

恭次は笑顔。

そして…


『好きよ♪夕陽ちゃん♪』


大斗がにこやかに言ったことに対し、夕陽は大きなため息を吐いた。


『バカな事は夢の中で言いなさいよ?』


かなりな呆れ顔で続ける。

『アンタ…あたしを「女」と認識してないわね?男の子に接する気分と同じでしょ?まぁいーけどさ』


2人にすっとぼけた事を言った。


こ…こいつ…何にもわかってねぇ…っ


今度、はぁぁっとため息を吐いたのは大斗。

彼を見て吹き出す恭次。

『えっ?!あたし何か変なこと言った?』

全くわけの分かっていない夕陽。

『変じゃないよ♪ひぃちゃんは悪くない。そうなのかぁ?!ひぃちゃん可愛いのに大斗は女として見てないのぉーっ?!男のクズー!ゴミー!』

恭次は笑い転げる。


ガンッ!!


再び大斗が恭次を思いっきり蹴り。

こうして、大斗と恭次はチャイムが鳴るまでジャレていた。


変な2人…

でも…

なんでかな…?

でもあたしも「名前を呼び捨て」を大事にしたいと思ったんだ…