『うん、俺も大斗が気になってしょうがない』
マスターは柔らかく笑う。
『その雰囲気に惹き寄せられてか…大斗の事つい見てしまうもの…』
『そうだね…。ねぇ?それ…』
と夕陽のカクテルを見て言うマスターは言った。
『大斗が作ったの?』
『あ、うん。そうなんだけどね、名前聞いても一向に「秘密」しか言わないんだよ?』
「わけわかんないよっ」と言う夕陽に
『違うよ、夕陽ちゃん。それは「秘密」で間違いないんだ。』
『えっ…?』
『だから「秘密」って名前のカクテルでね。昔、俺が雪那に作ったものだ。その時はもちろんアルコール入りだったけれど』
『ひみつ…?』
『そう。大斗は良く覚えていたなぁ。その時のにそっくりだよ。ノンアルコールで作るなんて更に驚いた。』
『そう…なんですか…?』
『ところで金平糖はいくつあったかい?』
『えっと、3個…』
何を言うのかと夕陽は不思議そうにマスターを見る。
『そうか。雪那に出した時はね、僕が彼女に秘密があって、金平糖は秘密の数だったんだよ。』
『えっ…』
ってことは…
『大斗は夕陽ちゃんに「秘密」が3つもあるってことかぁ』
『秘密…秘密?って?』
『なんだろうね?実は僕の「秘密」もまだ雪那は知らないんだ。夕陽ちゃんもそう簡単には聞けないかもね』
何だかマスターは楽しそうに言っている。
『気になるじゃん!!しかも大斗の秘密なんてきっとろくでもないよっ』
『まぁもう少し大斗の様子を伺ってくれよ?』
『あーうん…?』
『じじぃ。終わった』
そこへ大斗が帰ってくる。
『おぃバカ!!可愛い夕陽ちゃんを無事に送ってやれ』