『あたし…何か飲みたい…な…』

『あっ…うん…』

と彼は夕陽を見る。

『作ってくれない?』

彼女はそう言って笑う。

険悪な空気が心なしか和らぐような…そんな柔らかな笑顔。



『どーぞ』

しばらくして大斗は夕陽に1つのカクテルを渡す。

『これは何?』


『秘密』


『何よそれ!!もういーもん。』

そんな夕陽を見て、大斗は小さく笑う。


それはピンクとキイロが混ざった、やっぱり綺麗なカクテルだった。

少しだけある蒼色がキラキラと煌めく


『浮いてるの何?』

『秘密だって』

『もう!!会話になんない!!』

グラスの中には小さな何かが浮いている。

『金平糖…?』

夕陽が再び聞くと大斗は


『だから秘密』


それしか言わなかった。

『もうっ!!でも大斗さ、よくジュースでこんなの作れるよね?』

『才能でしょ』

今度は得意気に笑う。

『はいはい。やらしいね。ごちそうさま』


『大斗ー!!荷物運べ!!』

すると裏からマスターが大斗を呼ぶ。

『いってくる』


そう言った大斗の代わりにマスターが再び夕陽の元にやってきた。


『ごめんね、夕陽ちゃん。さっきは変な所を見せてしまったね、、』

『い、いえ…』

夕陽は何を言ったら良いかわからない。

『昔ね、店に来る子と遊んだら?って進めたのは俺なんだ』

『はぁ…。。。』

『自分のお店のお客さんなのに、いいの?って思っているだろうけど、俺は大斗が心配で堪らなかったからね。』

『心配…?』

『例の如く死んだ顔のアイツがね。女の子からしたら酷い話しだと思うけれど、必要だったんだ。一歩間違えたら、折角命拾いしたのに世に負けてしまいそうだったからね』

『うん…?』


よく、わかんないけど…なんとなく伝わる気も、する…?

きっと…酸いも甘いもみたいな…

うーん…ただ…


『大斗ってさ…無意識に周りを惹き付ける何か、ある気するの…出会った時に不思議な雰囲気を感じたんだよね…。それは男も女も時には酔わすみたいな…?』

と夕陽は言う。