『ふーん。夕陽先輩何にも言わないんですね…?あたし、やっと近くに居れるんです。という事なんで、よろしくお願いします!!夕陽先輩には…あたし負けませんから♪』


にっこり不敵に笑ってそう言うと、菜穂は走って行ってしまった。




なに…?


あたし…頭が付いていかない…


全く動けない…



せ…宣戦布告?


しかも、あたしに言う意味なんてない…


意味なんて…

無い…

ない…?

無い…




はぁ…


この頭がボーッとするのは、きっと

時差ボケのせい…


「あたし、大斗先輩が好きなんです♪」「夕陽先輩は、大斗先輩と付き合ってないんでしょ?」「でも2人は仲良く見えてもその時から何にも変わってないじゃないですか?夕陽先輩は大斗先輩のことどう思ってるんですか?」「大斗先輩凄い素っ気ないけど、なんかそれもかっこいいし…エッチも、すごくクールだけど、なんかそれが…忘れられなくって」


菜穂ちゃんの言葉が頭をグルグルするのは…

時差ボケのせい…


菜穂ちゃんが大斗を好きだなんて簡単に予想がついていたじゃないか。

大斗の過去の素行の悪さはわかっていたことじゃない?


ただ、はっきり言われただけ。


考えたくない。

考えたくない。



もう…やだ


そうだ。



もう…寝てしまおう。


時差ボケが酷いから…

こうなったら今すぐ寝てしまおう。


屋上には大斗達がいるから、保健室だなぁ…


鞄だけ教室に置くと誰にも言わずフラフラ夕陽は保健室に向かう。

昼休みが終わりそうな廊下や教室はまだまだざわめく。


なんだか…煩わしくてしょうがないよ…

なんでかイライラになってしてしまう…



駄目…

違う。

考えない。


大斗は友達。


だから違う


違う…はずなのに…


物凄く寂しい…。


先生に断りを入れてベッドに入る


カーテンの隙間から窓の奥。

見えた…桜の木。

桃色はなくなり光を受けるために広がる緑の葉。

空に向けてキラキラ伸びていた。


綺麗…