『…知らない、なぁ…?』


なのに、あたしは無意識にそう答えていた。


本当は知ってるよ、大斗は屋上に居る。


でも、隠してしまった。

何でって訳はないけど…なぜだか、やっぱり…あそこは、あたしたちの秘密の場所にしておきたい。


『そっかぁ。どこにいるのかなぁ…?』

それだけ言うと菜穂はサラリと話題を変えて続けた。

『夕陽先輩がお休みの時、大斗先輩と一緒に帰ったんですけどね♪』


はぁ…


何を言い出すのか…と少々固まる夕陽。


『まぁ…バレバレだと思うんで…言いますけどぉ…』

とにっこり。


『あたし、大斗先輩が好きなんです♪』


あぁ…


やっぱり、こうきたか…




『そ、そう…』



『夕陽先輩は、大斗先輩と付き合ってないんでしょ?』


『う、うん…』