『言えない…』


と一言。

そして…


『だって、本当の事じゃないのよ?大斗はキスを挨拶でできる人じゃない?』

「やれやれ」といつものふざけ合うのと同じように続けると…


『お前、本当にバカか?』

大斗がまさに"本当にバカか?"と問う顔で切り返した。


『はい?』


少し驚き気味に夕陽は反応する。



『俺した事ねぇよ。お前にしか』



大斗は平然と、とんでもないことを口にした。


『『はい?!』』


恭次と夕陽が同時に声をあげる。


ちょっと…何言ってるの…?この人…?




しばしの沈黙…





夕陽は理解できず固まっていた。



そして、しばらくしてハッと我に還り大声で怒鳴る。


『ちょっと!!あんた!!何こんな公共の場で意味分かんないこと言ってるの?!!もうヤだ!!エロ!!サル!!魔王は変態王国に帰れ!!今すぐ魔界へ帰れっ!!』

と凄い勢いで捲し立てて真っ赤になって、

『ばーか!!ばーか!!///』

と付け加え、荒々しく鞄を掴むと屋上から出て行ってしまった。


『バーカバーカって、なんて低レベルな事を…』

大斗はその背中に呟いた。


しばらくして恭次が口を開く。


『おい…。ひぃちゃんはお前がひぃちゃんにチュウしてるの俺が聞いてるって知らないんだからさぁ…、俺が居る場であの言い方は良くねぇよ「公共の場」って表現は可愛いかったけど♪』

と軽くため息混じりに言った。

『あ…やっぱ不味かった?つーかそんなことばかり最近してる気が…』

『何したの…?』

いぶかしげな恭次の顔。