しばらく…そのまま固まっていた。


『『ふぅーーーっ』』

大きなため息が重なる


クスクス


なんか可笑しくなってしまう。

2人の笑い声。



『『変なの』』


ちょっと身体の向きを変えて大斗の顔を見た…


『『ぶっ!!!』』


泣いてはいないけど、情けない彼の顔にガッチリ吹き出してしまった。


それに、大斗もなぜか大ウケ


『俺…っとんでもないバケモノを抱き締めてたっ!!』


あ…化粧ね…


ブッアハハハハー!!


お墓で笑いまくる、酷い顔の2人…


『今、幽霊出たら、あたし達の方がきっと恐いよっ』


最早泣き笑い。


『バーカ!!』



その後は…澄み渡る蒼を見つめていた。



『あ!!ところでお墓参りって、お花とかお線香、あたし達、何にもない…』


そう言うと


『貸して』


大斗は、あたしの手から手紙を取り上げた。


何事かと見ていると、それを器用に細く丸めていく…


『ちょっ何してるのよ?!』


その棒になった手紙はお線香立てに入れられ、びっくりして見ていると横からライターを持った手が延びてきた。


『駄目だよ!!大事な物なんだから!!やめッ『いーの』


あたしの制止の声に被せて大斗の声。


『大事だから。もう無くていい。瞳で見えなくても、俺の中にあるから』


そう言って火を点けてしまった…


チリチリチリ


それはみるみる燃えて、勢いよく

あおに昇っていく…


最後が消えるまで見ているしかできなかった…


チリッ


あっという間に…全て灰…



でも…



その手紙と…空を見上げる大斗の顔を見たら…


"それで良かったんだ"


とストンと思えてしまった。


想いを乗せて天に昇って行ったはずだから…



「俺の中に」ってことは…

"俺の心に刻まれて"

「もう消えない」って事だよね?


『ひろとぉ?』

『あ?』


『ご両親…にその、怒ってる?』


空を見上げて聞いた。


『俺さ…』