『【大斗…ごめんなさい…】』
あぁ…
呼吸が困難。
文の出だしは「ごめんなさい」だった…
『【あなたを…独り残してしまう…ごめんね…】』
『へいき…』
大斗の言葉を聞いて、あたしは…続ける。
『【何を言っても…言い訳になるので…何も言えません…大斗を…毎日辛い目に…合わせてしまって…ごめんなさい…】』
声が…上手に出ない…読まなくちゃ…
『【あたしは…あなたに、こうする事しか…できない…。こんな…親で、ごめんなさい…】』
一気に…読まないと、苦しくって…息が詰まってしまう…
『【上手に…愛せなくて、ごめんね…だけど…これが…あたしの精一杯の"愛"なんです】』
『ゆ…ひ…』
それは、とても小さな声。
『ひろ…と…は消えないよ』
苦しい…
大斗に更に強く…強く抱き締められた…
苦しいよ…
『息…できないってば…』
そう言ったら
『すんな…』
なんて彼は言う。
それから、小さな舌打ちが聞こえて…少しだけ、腕の力が緩んだ。
バカ…
沢山…空気を吸い込んだ…
なのに…吐息…の代わりに…
もっと…涙が…出てしまった。
折角…ちゃんと…読も…う…と思った…のに…なぁ…
無理みたい…
『【あなた…は…もっと…手…に…残る…温もりを…そんな…"愛"…を…見つけて…くだ…さい…】』
駄目だ…泣き…すぎ…文にならない…
でも…ね…
『大斗…は十分…温か、い…よ…』
大斗に…伝わるかなぁ…
もう、まともに…喋れない…けど…
『うん』
大斗の声に…
もっと…もっと…涙が…
『【あなた…の…幸せ…を…永遠に…願い…ま…す…】』
ヒック ヒック…
『【神崎 渚…】』
『ひろとぉ…ひろと…ひろと…』
おかしくなったみたいに、彼の名前を呼んだ。
大斗は「うんうん」と言葉にならないけど、身体いっぱいに頷いていた…