大斗の力を感じて…

また…あたしは大泣き。

大斗の言っている意味はよくわからなかったけど…


すぐ…理解することができた。


大斗の腕の中…

泣きまくるあたしの振動とは異なる振動を…

背中に受けたから…


大丈夫…だよ。


大斗の泣いているのは見えていないから…


誰にも見えていないから…


あたしの大泣きに消されてしまって…

気付かないよ…



だから

安心して泣いていいよ。



大斗のお母さん、お父さん…

見えていますか?

聞こえていますか?


大斗は生きています。


ちゃんと…

人間として…生きています…


あの頃よりも…

きっとずっと…自分の心を持っているでしょ?

あなた達には…どんなふうに見えますか?


『平気…だ、から…』


ガラにもなく、とても情けない彼の声…


クスクス


『アタッ!!』


つい笑ってしまったあたしの後から大斗は軽い頭突きをしてくる。


『わかってるってば』


クスクス…


大斗がなんか可愛くて笑いが止まらない。

『テメェっ…』

『わかってるよ』


だから…さっきよりも、ずっと優しく言ってみた。


『平気…だから』


大斗はまた同じ言葉を言う。

だから、手持ちのバックに大切にしまっていた物を取り出した。

『10日間、肌身離さず温めてたよ』


ちょっと笑って言ったら、また背中に感じた軽い突っ込み。


『夕陽が…読め…』

『それ…人にモノを頼むセリフじゃないね』

『うるせぇ』


少し震える2人の声…


変なの…

お墓の前で、2人で何て体勢で座っているんだろうね…


『あたし達って変だね?』


大斗は何にも言わなかった。

あたしは…手の中の封筒の封を開けていく。

ゆっくり、ゆっくり少しずつ…中の手紙が破けないように…


深く…深呼吸をした。

大斗も…それに続いていた…


『【大斗へ―】』