『初めまして。大斗の友達の片桐夕陽です』
手を合わせ瞳を閉じた夕陽。
俺は唖然とその姿を見ていた。
『大斗のお母さん…そして、お父さん…今、大斗は元気にやっています…』
何も言えない俺の横で、夕陽は静かに話しだす。
『会いに、来るのに時間がかかってしまったけれど、やっと来れたから…。第3者のあたしですが、よろしくお願いします…』
俺は…夕陽の…
その顔を見つめることしかできなかった。
『変な自己紹介になっちゃった…けれど、貴方達がこの世に授けてくれた大斗のお陰で、あたしは救われたから…。』
『ゆう…ひ?』
こいつは…本当に…なんてヤツなんだろう…
『あたしは…大斗に背を押されて、ずっと向き合えなかった…自分の親に会いに行けました』
キラキラと陽の光が包み込む。
『大斗の言ってくれたように…あたしは家族と話が少なかった為にすれ違っていた…。だけど…今回初めて、ずっと寂しかった事を伝えられました。』
話し続ける夕陽から瞳を逸らせない
『そうしたら…両親も同じだったみたいで…あたしの気持ちがわかなくて…同じように自分の気持ちを言えなかったみたいです。』
彼女の声が震えているのに…
見ているだけしかできない…
『大斗は…いつも強引で、勝手だけど…それは、あたしには無い…もので、だから励みに、なったのは、間違いないんです…』
瞳を閉じて話している、だけど瞳を潤ませているのは、なんとなく伝わってしまった。
『だから…大斗に会えて、よかった』
夕陽―…ッ
やっぱり…俺の身体は勝手に動いていた。
手を合わせる夕陽のその手を掴んでいたんだ。
それに驚いた彼女は瞳を開けて俺を見る。
そして、半泣きでふわりと笑った。
綺麗な顔…
もう…駄目だ。
どうしようもなく、すがってしまいたい。
『大斗?』
夕陽の腕を引き寄せようとする
だけど…俺の手は、ゆっくりと退けられてしまう…
『ゆう…』
『ひろと…』
表情を変えずに彼女は俺の名前を呼ぶ。