どこに行くのかわからなかったけど、なんとなく…
ただなんとなく、思い付く所があったから…
『いいの?』
『大斗が断りするなんて明日は嵐かな?』
「ふざけんな」と言う大斗についていった。
―――――――
いつもより長くバイクに乗っていた気がした。
ある街から外れた緑の見える地域。
大斗は度々紙に書かれた地図らしき物を見ながらバイクを走らせて行く。
無言。
『降りて』
空港を出てから初めて発っせられた言葉だった。
『初めて…来た…』
漠然と瞳の前の土地を見て彼は言った。
『うん』
『せっかく帰ってきたばかりなのに、こんなとこに連れて来て…。ただ…今来ないともう来れない気がした…から』
『違うよ大斗。こんなとこじゃないよ』
沢山の石が並ぶ場所。
ここはきっと大斗のご両親が眠る場所。
その広い敷地は静かに広がっていた。
中に探し当てた1つの小さなお墓。
『全部さ、雪那さんがやってくれたんだ』
『そっか』
そう言ってから大斗はお墓を見つめて、しばらく何にも話さなかった。
何を思っているのだろう…
『墓参りって…どうやるんだ?』
どれくらい…5分?10分?しばらくしてから口を開いた大斗は…
重い空気の中、相変わらず、抜けた事を聞いてきた。
『どうって…』
色々あるけど…
『話せばいいよ』
『話す…?』
『うん。』
沈黙。
ほけーっと墓石を見つめる大斗を見て夕陽はその隣に膝をついた。
彼は不思議そうにそれを見て、そこにあぐらで座り込む。
そして墓石を見つめる夕陽に視線を向けた。