『え?なんかマズイ事言った?』
『コイツ、病なんだってば♪重度の恋煩い中♪』
プーッ!!と笑い出す恭次。
『恋煩い?』
南深が不思議そう。
『恋こーい♪』
何も分かっていないだろう南深の弟、波琉(ハル)6歳が続ける。
『恭次、うるさい…』
と大斗。
はぁぁ…
『大斗君なら彼女の1人や2人いてもおかしくないよねぇ♪』
何を思ったのか笑顔で言う舞。
『あたしも大斗君に想われたい♪』
と瑠璃。
『話がわからない…』
鈍感南深だった。
―――――――
『ごちそうさまです』
食事が終わり家を出る大斗と恭次と南深。
珍しいメンバー。
やって来たのは近くの公園。
『何か賑やか家族見たの久しぶり』
と大斗。
『なんか、騒がしくてごめんね』
気まずそうに南深が言った。
『ちょっと戻った?』
恭次がいやぁな笑顔とともに聞く。
『さぁ…』
『ねぇ?さっきから話が全くわからないんだけど…』
再び気まずそうに聞く南深。
『南深が気付いたら教えてあげるね』
『もう!!いーもん。早くひぃちゃん帰ってこないかなぁ〜』
ドカーン。
地雷爆破。
『本当に南深は鈍感』
そんな恭次の言葉を背に受けながら黒い空を見上げて煙草を吹かす大斗。
『帰るわ。店行く』
そう言って彼は公園を後にした。
『大丈夫かね?』
『ねぇ何が?』
『大斗』
『神崎くんってさ、ひぃちゃんのこと好きなの?』
サラリと南深。
恭次はブーッと飲んでいた缶ビールを吹き出す。
『ぶっちゃけ、俺が聞きたいのは、ひぃちゃんが大斗をどう思ってるかだね』
『質問の答えになってないし』
少し頬を膨らませた南深。
『ひぃちゃんは…「大斗の事は考えない」っていつも言ってる』
『考えない?』
「どういうこと?」と恭次は南深を見る。
『あたしにもよくわからない…けど、神崎くんとどう?って聞くといつもはぐらかされちゃうなぁ…』
『そっか』
昼とうって変わって晴れ間がない黒い空。
物語りは確実にページを刻む…