『ナンシー効果はナシ?』

『恭次君…それギャグ?』


「ひぃちゃんの代わりに♪」と面白がって恭次がくれたエロ本。

今の大斗には何の役も果たさない。

はあぁぁ…とため息吐いた恭次は彼の横に座り缶コーヒーを手渡す。

『上着あったからさ、こんなGWの隙間に大斗が登校するなんて予想外』

ポンッと手を打ってわざとらしく言った。


家になんて居られるわけない…

スイートブルーに行っても気持ちは明後日の方向…

ぼーっとし過ぎて、おかしくなりそうだったんだ…

気分変えるために学校来たんだバカ…

もう声を出すのもダルいんだ…


ポカポカ春陽気の気持ちが良い日。

梅雨でも背負ってるかのような大斗。

呆れる恭次。


『俺…重症っぽい…』


『見てわかるから。見苦しいね』


うるさい。

でも俺、身体に力が入りません。




『ひぃちゃんが居ないから…』

恭次は続ける。

『それで君はこんななの?』


自分でもわかんねぇ…けど


『夕陽のご飯が食べたい…』

返事の代わりにこう言って恭次を見る


『その、すがるような捨て犬みたいな瞳を止めろ。キモチワルイ!!』

恭次は軽く蹴りを入れる。

ごろん。とまた上向きに戻った。


『もう…3日断食…』


なんか情けないくらい駄目なんだ。


『俺…餓死するかもしれない…』

『おいおい…大丈夫かよ?』

恭次もヤバイなと本気で思い始める。


『大丈夫なら…こんなになってない。まさか、自分でも…予想外…』


転がったまま更に項垂れ


『3日より空けて、ほんのちょっともアイツに会わなかった事ない…』


『いやいや…それは言い過ぎでしょ?俺と南深だって16年間で一週間くらい会わないのザラにあるよ?』


『マジ。考えてみたら…学校休みの時も4日目には勝手に会いに行ったり呼び出してたっぽい…』

と即答。


『そりゃ…すげーな。考えてみちゃったお前が…すげーよ』


もう…どうしたらいいんだ…