―――――
―――――――
『夕陽!!』
その日は大斗が珍しく夕陽を教室まで呼びに来た。
クラス中が2人に注目する。
うるせぇ…見るなっ!!
最早愛想笑顔を振り撒く余裕なんて大斗にはない。
お前らに構っている暇なんてないんだ。
大斗は思い切り不機嫌な顔で「俺に話しかけるな」と威嚇状態。
『おい!!』
終いには八つ当たり気味に間違えて、荒々しく夕陽を呼んでしまった始末だった…
今日はGWの前の日。
普段は来ないのに教室まで来てくれた大斗の意味が夕陽にはわかる。
彼女は鞄を掴むとすぐに大斗に駆け寄った。
周りからは「何故か怒っている神崎大斗に慌ててついて行く片桐夕陽」と映っていた程。
大斗は何も言わずに学校を出て行く。
彼は怒っているとは違うものの、みんなの視線にイライラして機嫌が悪いのは確かだった。
『大斗…?』
少し心配になった夕陽は思わず声をかける。
大斗は急に止まって振り返り
『どこか行きたいところに連れてってやるよ?』
片眉下げたあの穏やかな顔で言った。
大斗の―
この顔はとても安心してしまう…
明日の事で、あたしを気遣ってくれているんだね…?
『ありがとう…』
夕陽は小さな声で答えた。
でも…行きたいとこ…??
うーん…
どうしようか?と考え込んでいると
『つーかさ、もしかしてって思うけど、お前眠い?』
ふいに彼は言った。
『えっ?』
『そんな気がしたから』
『ね…眠そうに見える?』
『別に、顔は普通だけど、なんとなく…ね』
…
どうして、大斗にはわかっちゃうのかな…
『昨日…全然寝れなかったの…ッ』
ベシッ!!
えぇっっ?!!痛いっ!!
おでこを叩かれてしまった。
『ゔーッ』
涙瞳でそこを押さえる
『どうせ色々考えて緊張して寝れなかったんだろ?どうして連絡してこないわけ?』
そんな当たり前に言われても…
どうしてって…だって…
なんか…
『悪いかなぁって…』