とバツが悪そうに今日は屋上を出て行ってしまった。
こんな時もしばしば。
その扉を見つめる2人。
『ひぃちゃん、忙しそうだね…?』
『あー』
『あっそうだ、お前知ってる?』
『何を?』
『杏から聞いたけど、あの1年、橘菜穂ちゃん、何でかひぃちゃんに会いに来てるって話だよ』
『何で?』
『そこまで知らないよ』
『夕陽なんも言ってないよ?』
『まぁ…無意味に挨拶するくらいだって…。でも、ねぇ…?その子、大斗狙いなんだから一応気を付けといたら?』
『はぁ…』
何だそれ…?
もうわからん…
ぐだぁ。
とする大斗の様子を見かねて恭次は
『ぶっちゃけ、大斗とひぃちゃんどうなってんの?』
と聞いてくる。
『別に何もねぇよ…。ただ、なんか…イライラする…。どうしよう…?』
とガックリ…
『そんな事、自分で考えろよ』
頼むよ…と言う様子で話す。
『俺…本気で夕陽の周りの男全員ぶっ飛ばしそうになる…』
大斗はそれを自分で感じて夕陽の教室に余り顔を出さなくなっていた。
恭次は、呆れるを通り越して、笑いそうになってしまうが…
『でも…できない。』
そう言う大斗をえっ?と見る
『何でさ?殴る前に躊躇する事考えるなんて、らしくないな』
『俺だって…そう思う…。でも…』
大斗は、はぁぁ…と大きくため息を吐いて…
『そんな事できる権利無い』
と続ける。
恭次はそれを聞いてびっくりした顔。
『大斗のキャラじゃねぇ…』
大斗から何かをする「権利」なんて言葉を聞くなんて。
『お前…誰だ?!天下の神崎大斗はどこに行った?』
基本的な自己中大斗は言うならば「何をしても良い権利を俺は持っている」と当たり前で居るはず…
『とりあえず、正気になれよ』
『あー』
もう俺、思考回路、変…
こうして、夕陽と大斗はクラスが違う事で、1年の時ほど話す機会は必然的に減っていった。
何となく変化を見せる毎日…
それに気付き始めた4月の中旬。