――――――
――――――――
『夕陽せんぱぁい?!』
『菜穂ちゃん…?』
「移動教室の通り道なんです」などの理由で、菜穂は夕陽のクラスに何故か度々顔を出すようになっていた。
特に何を話す訳でもない。
なぜ?なつかれた?まさかね…
気にするほどの範囲でもないほど、挨拶を交わす程度なので、夕陽はこんなふうに思っていた。
――――――
――――――――
『大斗先輩いますかぁ?』
『へ?!神崎くん?あっえっと』
ある日の2時間目が終わった中休み、菜穂が大斗のクラスにやってきた。
突然話しかけられた南深は少し驚きながら大斗を呼ぶ。
『菜穂ちゃん?』
『先輩に会いに来ましたぁ♪』
と言われても…
『ありがとう』
とりあえず笑ってみた。
この子の考えてる事イマイチわらんねぇんだよな…
『せんぱぁい♪お昼一緒に食べませんかぁ?』
『俺ね、用事あるんだよね』
笑顔でサラリと返答。
『えーっそうなんだぁ残念。』
本当言うと…あんまり関わりたくない。
過去と繋がってるヤツとは関わりたくない…
でも、自分でしでかした事…
あーダルイ…
『ごめんね、また今度ね』
周りの目もあるし、ここは穏便に…
と再び笑う。
『大斗ー!!』
『恭次?』
そこへ助け船。
『あら?君は菜穂ちゃんだったよね?』
『はい♪橘菜穂ですっ大斗先輩のお友達ですか?』
菜穂は明るく挨拶する。
『まぁね。ちょっと大斗借りるね』
そう言って恭次は大斗を呼び歩き出した。
『先輩♪また今度ねぇ〜♪』
――――――
『菜穂ちゃんって、お前の事好きなんだろ?』
『さぁ…?』
屋上に向かいながら恭次は口を開く。
『さぁ?じゃないからね。ほんとは聞きたく無いけど、橘菜穂とどんな知り合いよ?』
『あー…』
大斗は渋々話し出す。
『家出した時にイライラしながら歩いてたら…知らない男が当たってきたからぶっ飛ばした…』
『うん?』