『あっお久しぶりです♪』

夕陽にもにっこり挨拶する。


なんか…文化祭と…

イメージ違う気がする…?

もっと、感じ悪かったような…

あの時が気のせいだったかなぁ…


『夕陽先輩ですよね?あたし、橘菜穂(タチバナ ナホ)って言います♪よろしくお願いしまぁす』

『はぁ…』


何だか調子が狂ってしまう。

この子…明らかに大斗狙い…よね?


今まで大斗に近づく女達は、あからさまに夕陽に敵対心を持つ。

菜穂にはそんな様子は見えない…?


『先輩達、今帰りですかぁ?大斗先輩とぉ夕陽先輩一緒に帰りますぅ?あたしもご一緒していいですかぁ?』

にっこりと…なんの躊躇もせずに菜穂は言う。


いやいや…気まずいでしょ…

しかも…語尾にちっちゃい「ぁ」とかが異様に多いしね、、、


『あたし、用があったから言いに来ただけだよ。じゃ、行くねバイバイ』

夕陽は咄嗟にそう言って行ってしまった。


ってなに逃げてきてるの…

別に一緒に帰るくらいいいんじゃないの…

でも…

大斗が昔関わった女の子なんて、なんか気まずいとか思ってしまうし…

それに…

どんな関係かもわからないし…

もしかしたら、きっと…

あの子…

うわぁぁッ!!やめやめ

気にするのバカバカしい!

触らぬ神に祟りなし…


はぁぁ…


―――――


『入学式終わったら、早く先輩に会いたくて探しちゃいました♪』

夕陽を見送ると菜穂は再びにっこりと笑う。

『あー…』

『一緒に帰りましょうよぉ?』

菜穂は、にこにこと大斗の腕に触れる。

『あのね、菜穂ちゃん?』

大斗を遮るように菜穂は言葉を被せる。

『先輩は夕陽先輩と付き合ってるんですか?』


いきなり聞くなよ…


『違うけど…』

『じゃぁ咲さんって人は…?』


何で夕陽と咲の名前知ってるんだコイツ…