大斗が笑い転げている内に気を取り直した夕陽、はぁぁとため息を吐いて呆れている。
『つーかさ』
余韻を残しつつ笑い止んだ大斗は夕陽を見て
『これからも弁当作ってくれる?できるだけいつも…』
正直…そんな顔で、そんな瞳で言わないで欲しいと思った。
『う、うん』
思わず返事をしてしまう…
や…やられた…
『ラッキ♪』
長年の間に自然と培ってきただろう…
その瞳力…
でも…
あたしは墜ちない。
そんな必殺スマイルに飲まれません!!
『あ♪気分良いから、苺パフェ奢ったげるね♪』
殿は超ご機嫌のご様子。
全く…お調子者…
間もなく届けられる今年の春の苺フェア
『おいしぃ〜♪』
あっ…
また笑った。
1年前は…こんなに笑ってなかったよなぁ…?
あーぁ…
夕陽の笑顔に再び固まる大斗。
夕陽はパフェに夢中で全く気付かなかった。
1年前は、大斗とこんなに仲良くなるなんて思わなかったな。
本当に色々あった…
これから1年どんなことが起こるのかなぁ♪
この時は…近い未来もわからずに、ただただ楽しい今という日に、安心しきっていた。
毎日楽しい事ばかりじゃ居られないないって、そんなのは簡単に予想できたはずなのに…
――――――
ピンポーン。
『大斗は本当に突撃お宅訪問だな』
半ばお決まりの恭次のため息。
『今日はどうしたの?』
『恭次…俺…やっぱり墜ちたらしい…』
柄にもなく顔を真っ赤にさせてこう言った大斗には…
普段の生意気さの欠片すら見えなかった。