更に更にっ咄嗟の事だったからか、自分の倒れ方が悪かったのか…

大斗があたしを支えようとしたのか…

「セーフ」と言う大斗の腕は…

あたしの背中に回っている…


これはっ!!

おもいっきり抱き締められている状態ではないですかっ…

恐る恐る少し身体を起こしてみる…

ニヤリと…

やはり悪魔の笑みを浮かべた大斗があたしの身体の下に居た…




一刻も早く起き上がらないと…

そう思って身体を上げようとする…


えっ…?




大斗の腕があたしの腰と背中の所から離れない。

相変わらず魔王は怪しげな笑み…



『は…離して…?』


苦笑いで大斗を見て言うと…



ガバッ!!


強く引っ張られて、今度は大斗の力によって…

再び彼の胸に沈んでしまった。


『無理。』


と大斗の小さな声が耳元で聞こえた。

ギュッと腕に力が入るのを背中いっぱいに感じる。


ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ



やばいやばいやばいやばい

これは非常にやばいっ!!!!





しまった…

俺…身体がまた勝手に動いてしまった。

頭ん中で"良くないだろ?" と思っていても、腕が夕陽から動こうとしない。

胸元に彼女の口がパクパク動くのを感じる。

俺の腕の中で、彼女がパニックしまくってる様子が解るが、俺の身体は解ってやるのを拒否らしい。

「絶対に離す気が無い」と代弁できるくらい明らかに身体は暴走。


俺…やっぱり危ないな。


だからか…今日は、前と違って何か焦るとかより、逆に笑えてきてしまう。


理性とやらが抑えようとしている本能に敵わず、素直で従順な自分の身体に笑えてきてしまう。


挙動不審の夕陽が面白い。