『あたしはマスターに会いに来たの!!あんたなんか知らない!!』
大斗は、はあぁとため息を吐き鞄を拾いあげると階段を登ってくる。
夕陽の目の前にくると
『そんな怒るなよ。落ち着けって』
と冷静に鞄を渡す。
ムカツク!! ムカツク!! ムカツク!!
大斗が冷静であっても夕陽の怒りが収まるはずがない。
大斗キスをされても平然としているっ!
その様子も更に怒りを沸き立たせる。
バンッ!!
夕陽は手渡された鞄を再び地面に振り落とす。
『いい加減にしろ!!』
『ふざけてんのはどっちよ?ほっぺにチュウとかされちゃって?何様のつもり?良かったわねぇモテモテで。』
『はぁ?なんなの?お前だって遊んでんじゃねぇか?良かったな?!楽しいホワイトデーで。そっちこそ何様だよ?』
とバカにした笑いをして大斗は言ってくる。
『神崎!?ちょっと言い方酷くない?』
ここで雅が初めて口を挟んだ。
大斗は雅を睨み付ける。
『雅君!!こんなバカほっとこう!!手癖の悪さがうつっちゃう!』
夕陽が突っかかる。
『ゴメン、夕陽ちゃん。でもちょっと言わせて。』
こいつ…「夕陽ちゃん」だと?
夕陽の事気安く名前で呼ぶなっ
『何なんだよ?第3者は黙ってろ』
最高に機嫌が悪くなった大斗は雅に強く言う。
何なんだよ?
この男はっ?
マジでムカツク!!!
『確かに今の話しには第3者かもしれないけど、夕陽ちゃんが悪く言われるのは納得できない。』
と雅は夕陽に向き直る。
『俺、夕陽ちゃんの事が好きなんだ。夕陽ちゃんには神崎が居るからって思って言わないつもりだったけど。神崎が夕陽ちゃんを悲しませるなら遠慮はしない』
大斗に対しての怒りで半泣きの夕陽の顔を見据えて、雅ははっきりと言った。
『はぁ?』
『えっ?!』
大斗と夕陽が同時に驚いて声を上げた。
『いきなりゴメン』
『ま…さ君?』
『と言うことだから。良いかな?神崎も知っておいてくれる?』
そして雅は今度は大斗にキッパリと言った。