『えっと…』

そう言う夕陽の言葉を切り大斗は、すかさず続ける。

『お詫びにお前にお菓子でもあげようと思ったけど…てめぇはまた別に新たにムカつく事するし。こんな時間に外に居るなって前も言っただろ?しかも制服で』


本当に何を考えてんだこのバカ女。


呆れた顔で鋭く大斗は言う

『ゴメン…』

『で。お前は、これ要るの?要らねぇの?』


夕陽は半泣きで見てくるけど、俺はイライラが消えなくてかなりトゲのある言い方をしていた。

でも、なんかすげー頭にくる。


『い…要る…』



夕陽は絞り出すように、そう言った…


そして…


フラッ


えっ…?



と思ってる内に…

俺の胸に…

頭を寄せてきた…



は?!



な、なんだ…?!!!







ちょっと…まて



何だ?!!!

コイツ…ッ!!



大斗は夕陽の突然の行動に柄にもなく、たじろぐ。



まずい…


俺は今シラフだから…


身体が普通に反応してしまう


夕陽の少し香る香水が…


俺…心臓が…



『ゆ、ゆう…』


大斗は戸惑いつつ…

でも身体は勝手に夕陽を抱き締めようとし…

無意識に腕が動いていた。



ガクンッ!


すると、彼女はその場に座り込む


『さ…寒い…』


夕陽…?!


『お前…もしかして具合悪い?』


俺…バカな事考えてる場合じゃねぇよ!!

不覚にもちょっとゾクッとしてしまった。

落ち着け!!俺。


大斗は、我に還って夕陽の前に屈む。

『大丈夫か?』


『さ…寒い…っ』


夕陽はそれしか言わず身を縮めて震えている。

大斗が夕陽の手に触れると、とてつもなく冷たいではないか。


『おぃ…お前…本当は何時から居た?』

焦って問うと…


『7時…』


夕陽は小さく呟いた。

今の時間は12時を回ったほど。