『キレイな形ですね』


夕陽がキーホルダーを渡すと女の人はにっこり笑った。


口元をみただけでも、彼女の喜びが夕陽に不思議と伝わった。


周りにパッと花が咲く。


『本当っ♪?!ありがとう。これね、あたしが作ったんだ。指輪は元からあるやつだけど』


彼女は更に屈託なく笑う。

大きな黒いサングラスをかけて殆んど顔が隠れている。


だけど、顔いっぱいの笑顔だとわかる。


きっと綺麗な人だろうなぁ。


『ありがとう。あっ!!ヤバッ!!遅刻だ!!』


そして、彼女は今度は本当に走り去った。



街には色んな人が居る。


夜の街に似合ったあの人は、これからどこに行くのかなぁ…?



あたしも…この暗さに飲まれないあの人のみたいに、輝けるようになれるかな?


太一とは、食事をして別れた。


『また電話するねバイバイ』

「送る」と言われたけど、夕陽は断り独りで帰った。


何だか疲れたから、早く帰りたかった。